なぜパワーリフティングに4スタンス理論?
パワーリフティングでは「最大重量を安全に挙げる」ことが目的です。そのために「正しいフォーム」として様々な指導が行われますが、体の重心タイプが違えば「正しいフォーム」も変わります。
Aタイプの選手が「もっとかかとを踏め」と言われても力が入りません。Bタイプの選手に「もっと前傾して引け」と言われると腰を痛めるリスクが上がります。自分のタイプを知ることが、怪我なく記録を伸ばす最短ルートです。
クロス(A1, B2)= 対角線連動、パラレル(A2, B1)= 同側連動
5ポイント = P1首付根, P2みぞおち, P3股関節, P4膝, P5足裏
ベンチプレス:タイプ別グリップと降ろし方
ベンチプレスとは
仰向けでバーベルを胸まで降ろし、腕を伸ばして挙げる種目。胸・三角筋・上腕三頭筋が主動筋。パワーリフティングでは胸に完全にタッチしてから挙げるルール。
指先寄りグリップ・みぞおちに降ろす
グリップは指先気味。バーを「みぞおちの方向」に向かって降ろします。胸骨の中央〜やや下ではなく、みぞおちに近い位置でタッチする感覚。
アーチはやや浅め。体の前面を使って押し出すため、大胸筋全体で受け止める感覚が出しやすいです。
手のひらグリップ・胸の高い位置に降ろす
グリップは手のひら全体。バーは胸の上部〜乳頭あたりの「高い位置」に降ろします。肩甲骨をしっかり寄せてアーチをつくります。
アーチは大きめ。背面の力を使って背中からバーを弾き返すように押し出します。
グリップ幅(1 vs 2)
やや狭め
上腕三頭筋・体の内側の力を使うため、グリップを肩幅かそれより狭くすることで力が入りやすくなります。上腕三頭筋が強みになるタイプです。
やや広め
大胸筋外側・三角筋の力を使うため、グリップを肩幅より広くすることで力が発揮しやすくなります。大胸筋が強みになるタイプです。
スクワット:タイプ別スタンスと深さ
スクワットとは
バーベルを背中に担ぎ、しゃがんで立ち上がる種目。大腿四頭筋・臀筋・ハムストリングスが主動筋。パワーリフティングでは股関節が膝より低くなるまでしゃがむルール。
つま先重心・ハイバー気味の設定
バーを首付根より少し下あたりに担ぐハイバー気味のポジション。しゃがむ際につま先側に体重が乗り、膝が前に出ながら深くしゃがめます。
大腿四頭筋が主に使われ、膝の伸展力でバーを押し上げる感覚が出しやすいです。
かかと重心・ローバー気味の設定
バーを肩甲骨の上に乗せるローバー気味のポジション。しゃがむ際にかかとに体重を落とし、股関節を後ろに引きながらしゃがみます。
臀筋・ハムストリングスが主に使われ、背面全体の力でバーを持ち上げる感覚です。
スタンス幅(1 vs 2)
やや狭め・平行スタンス
足の内側に重心を置き、つま先はやや前向きかわずかに外向きにします。膝は内側の力でコントロール。大腿四頭筋・内転筋を使い切るスタンス。
やや広め・外開きスタンス
足の外側に重心を乗せ、つま先を45度程度外に向けます。股関節外旋筋・臀筋・大腿外側を主に使うワイドスタンス。深くしゃがめる人が多い。
デッドリフト:タイプ別スタンスと引き方
デッドリフトとは
床に置いたバーベルを持ち上げ、直立する種目。脊柱起立筋・臀筋・ハムストリングス・広背筋が主動筋。パワーリフティングでは膝と股関節が完全に伸びた状態がゴール。コンベンショナルとスモウの2スタイルが許可されている。
前傾・コンベンショナル気味
つま先寄りに体重をかけ、引き始めに膝を前に出しながら体の前面でバーを引き上げます。みぞおちを先行させながら上体を起こしていく感覚です。
コンベンショナルスタイルとの相性が良く、引き始めの膝の動きに自由度があります。
後重心・スモウ気味
かかとに体重を乗せ、背面全体でバーを引き上げます。引き始めに体を後ろに押し込むような感覚で、臀筋・ハムストリングスに力が入ります。
スモウスタイル(広いスタンスで股関節外旋)との相性が特に良く、腰への負担を分散できます。
3種目共通の軸づくり
パワーリフティングの3種目に共通して必要なのが「体の軸(体幹の剛性)」です。4スタンス理論では、タイプによって軸をつくるポイントが変わります。
みぞおちを起点にした体幹
みぞおち(P2)を意識してお腹を前に押し出すようなブレーシング(腹圧)をかけます。息を吸ってみぞおち周辺が膨らむ方向に圧を高めます。
体の前面に張りをつくることで、体幹全体の剛性が高まります。
首付根を起点にした体幹
首付根(P1)を固定点として意識し、背面全体に圧をかけるブレーシングをします。息を吸って背中が膨らむ方向に圧を高めます。
体の背面をシェルのように固めることで、重量を受け止める強い体幹が生まれます。